経営コンサルティング、資格取得講習、企業研修・セミナーのウェルネット

育成就労制度の概要図

2027年4月1日から「育成就労制度」が始まります。
従来の技能実習制度を見直し、外国人材の育成と就労を支援する新しい仕組みです。
本ページでは、新制度の目的や概要、法定講習の受講義務、受入企業の役割、特定技能制度との関係性などを整理してご紹介します。
※2025年11月20日時点で公表されている法令等に基づいて作成しています。

育成就労制度・特定技能制度における法定講習と各種名称

2027年度から新たに始まる「育成就労制度」では、従来の技能実習制度全体の見直しとともに、法定講習の受講義務についても大きく変更されます。
表1・2では、従来の技能実習制度、新設される育成就労制度及び改正される特定技能制度において、講習受講の必要性や各種名称の違いについて整理しています。
※本ページ内では、技能実習制度の「実習実施者」・育成就労制度の「育成就労実施者」・特定技能制度の「特定技能所属機関」を「受入企業」として記載をしています。

(表1)<技能実習制度・育成就労制度における法定講習の受講義務について>

  技能実習制度 講習
受入企業側
(実習実施者)
技能実習責任者
技能実習指導員
生活指導員
受入・就労等の支援組織
(監理団体)
監理責任者等 監理責任者
監理団体の役職員
外部監査人
指定外部役員

  育成就労制度 講習
受入企業側
(育成就労実施者)
育成就労責任者
育成就労指導員
生活相談員
(単独型)監査を担当する者
受入・就労等の支援組織
(監理支援機関)
監理支援責任者等 監理支援責任者
監査担当役職員
外部監査人

※単独型とは
育成就労実施者が、海外事業所の職員等を監理支援機関による支援を受けずに自社で受け入れ、雇用・教育・生活支援を行う形態をいう。

(表2)<特定技能制度における法定講習の受講義務について>

  特定技能制度 講習
(従来制度)
講習
(新制度)
受入企業側
(特定技能所属機関)
支援責任者
支援担当者
受入・就労等の支援組織
(登録支援機関)
支援責任者
支援担当者

※講習の要件※

「◎」…義務

「○」…優良な受入企業等において点数付与の条件

「-」…講習修了要件無し

POINT

技能実習制度では技能実習指導員講習や生活指導員講習は任意受講でしたが、育成就労制度では育成就労指導員や生活相談員の講習受講が義務化されます。
また、監理支援機関を利用せずに育成就労外国人を受け入れる単独型育成就労(単独型)の受入企業においても監査を実施することが義務化され、その監査を担当する者の講習受講も義務化されます。
さらに、特定技能制度では、支援責任者に対する講習が新設されるなど、制度上の変更が大きくなされています。

法定講習受講の経過措置について

新制度の開始に伴い、当面の間は経過措置が設けられる予定です。
・育成就労制度において、育成就労責任者は技能実習制度における「技能実習責任者講習」を、監理支援責任者、外部監査人及び単独型の監査を担当する者については技能実習制度における「監理責任者等講習」をすでに修了していれば、当面の間は新たに講習を受講する必要はありません。
育成就労指導員及び生活相談員については、現時点でこのような具体的な経過措置は確定していませんが、当面の間「相当と認める講習」の受講とするとされています。
・特定技能制度における支援責任者については、経過措置として、当面の間は講習を受講する必要はありません。

目次
1. 育成就労制度の概要

■ 育成就労制度とは(制度の目的・概要)
■ 施行時期・導入スケジュール
■ 制度創設の背景(技能実習制度の廃止と転換)
■ 特定技能制度との関連性
3. 育成就労実施者について

■ 育成就労制度の創設に伴う、受入企業(育成就労実施者)の要件
■ 育成就労計画の認定制度
4. 監理支援機関について

■ 監理支援機関の許可制度と基準の厳格化
■ 育成就労制度における転籍対応
5. 育成就労外国人について

■ 育成就労外国人に求められる日本語レベル
■ 育成就労から特定技能1号に移行する際の要件
6. 特定技能所属機関・登録支援機関について

■ 支援責任者の講習受講義務化
■ 外部委託の制限
■ 不適正支援への監督強化・取消の厳格化

1.育成就労制度の概要

育成就労制度とは(制度の目的・概要)

2024年6月21日、「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律」(以下、改正法)が公布されました。
それにより、技能移転による国際貢献を目的とする技能実習制度を抜本的に見直し、日本国内の人手不足分野における人材の育成・確保を目的とする育成就労制度が創設されます。育成就労制度は、「育成就労産業分野(育成就労制度の受け入れ分野)」において、日本国内での3年間の就労を通じて特定技能1号水準の技能を有する人材を育成するとともに、当該分野における人材を確保することを目的としています。

施行時期・導入スケジュール

育成就労制度は、2027年4月1日に施行されます(2025年9月26日の閣議決定)。その具体的な内容を規定する関係省令等は2025年9月30日に公布されました。
この関係省令等は育成就労制度の開始と同時に施行されますが、制度開始に先立ち、監理団体が育成就労にかかる雇用関係の成立のあっせんを行うことや、監理支援機関許可の事前申請を行うことができます。具体的な方法は今後公表される見込みです。また、制度開始前に入国をした技能実習生は少なくとも技能実習2号修了までは引き続き技能実習を続けることができるため、しばらくは技能実習制度と育成就労制度が併存することになります。

制度創設の背景(技能実習制度の廃止と転換)

近年、日本国内では深刻な人手不足が進行する一方で、グローバルな人材獲得競争も激化しています。
従来の技能実習制度は、外国人の人材育成を通じた技能移転による国際貢献を目的として設けられましたが、実際には労働力の確保手段として利用されるケースが多く、制度の目的と実態との乖離がありました。また、技能実習生の意思等による受入企業の変更(転籍)  が原則できないなど、外国人技能実習生の権利保護の不十分さが指摘されるようになりました。
そこで、日本が外国人から選ばれる国となり、産業を支える人材を適切に確保するため、人材育成と人材確保を目的とする育成就労制度を創設し、これまで技能実習制度において指摘されてきた課題を解消するとともに、育成就労制度と特定技能制度に連続性を持たせることで、外国人が就労しながらキャリアを積み上げていける制度を構築し、長期的に産業を支える人材の確保を実現するための制度設計がなされました 。

特定技能制度との関連性

育成就労制度は、特定技能1号への移行を見据えて設計されています。
特定技能制度は、日本企業が必要とする技能や知識を持つ外国人を即戦力として受け入れるための制度であり、一定の専門性や経験が求められます。
育成就労制度では、現場での実務経験や日本語能力の向上、体系的な職業訓練などにより、将来的に特定技能1号水準の技能を身につけることを目指します。
これにより、外国人は段階的にスキルを磨きながら、日本での就労機会を広げ、キャリアアップを図ることができます。
また、受入企業側にとっても、育成就労制度を経た人材を特定技能制度で受け入れることで、より安定的で即戦力となる人材確保が可能となります。

※制度見直しのイメージ図

育成就労制度の図解

※出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001231483.pdf

2.従来の制度(技能実習制度)との違い

基本情報について

表3は、従来の技能実習制度、新しい育成就労制度と特定技能制度の基本情報を比較したものです。
目的や在留資格、転籍の可否、日本語要件などの項目ごとに整理しており、各制度の特徴や相違点を記載しています。

(表3)<各制度における基本情報の比較>

  技能実習制度(従来制度) 育成就労制度(新制度) 特定技能(従来制度)
目的 人材育成・国際貢献 人材育成・人材確保 人材確保
在留資格 技能実習
(1号〜3号)
育成就労 特定技能
(1号・2号)
在留期間 最長5年 最長3年 特定技能1号(最長5年)
特定技能2号(制限なし)
対象職種・分野 2号技能実習移行対象職種
91職種168作業
育成就労産業分野
(原則特定産業分野と一致)
特定産業分野(16分野)
転籍 原則不可 要件を満たせば転籍可 転籍可
就労開始前の
日本語要件
基準なし
(介護職種は除く)
基準あり 基準あり
移行の仕組み 技能実習1号〜3号
まで
育成就労から特定技能1号、2号へと
キャリアパスを制度化
試験合格者のほか、技能実習2号
修了者の一部は無試験で特定技能
1号へ移行可能

3.育成就労実施者について

育成就労制度の創設に伴う、受入企業(育成就労実施者)の要件

育成就労制度は「人材育成」を目的としています。
そのため、受入企業ごとの受入人数枠をはじめ、育成・支援体制の要件については、適正な整備をされた上で、従来の技能実習制度で求められていた水準が新制度においても基本的に維持されます。
さらに、特定技能制度とのつながりを持たせるため、特定技能制度と同様に、分野別協議会への加入などが新たな要件として設けられました。

育成就労計画の認定制度

育成就労制度においては、育成就労外国人ごとに作成する「育成就労計画」を認定制としています。
育成就労計画には育成就労の期間(3年以内)、育成就労の目標(業務、技能、日本語能力)等が記載され、入国前に3年分の育成就労計画について外国人育成就労機構による認定を受ける必要があります。

4.監理支援機関について

監理支援機関の許可制度と基準の厳格化

育成就労制度において、外国人材の育成・就労が適正に行われているかを監理する役割を担う「監理支援機関」は許可制となります。
技能実習制度で許可を受けた監理団体であっても、新制度のもとで改めて監理支援機関としての許可を受けなければ、監理支援事業を行うことはできません。
監理支援機関は、主務大臣の許可を受けた上で主に以下の業務を行います。

・国際的な人材と企業のつながりを支援
・受入企業(育成就労実施者)への監理・指導
・育成就労外国人に対する生活・職業面での支援および権利保護
・転籍希望が生じた際の関係機関との調整および連携対応

また、育成就労制度では、監理支援機関がより適切に機能を果たせるよう、許可基準が技能実習制度より厳格化されます。
具体的には、次のような新たな要件が追加されました。

・受入企業と密接な関係を持つ役職員が監理業務に関与することを制限
・外部監査人の配置を義務化
・受入企業及び育成就労外国人の数に応じた適正な職員配置を義務化

育成就労制度における転籍対応

育成就労制度では、外国人本人の希望に応じて、受入企業を変更する「転籍」が可能です。転籍が円滑かつ適正に行われるよう、監理支援機関は以下の役割を担います。
<転籍希望の確認>
外国人本人または受入企業等を通じて転籍の申し出を受け、その理由や希望条件を確認します。業務内容や勤務地、技能・日本語能力などの条件を整理し、本人の意向を正確に把握します。
<関係機関との調整>
現受入企業に通知をした上で、転籍先受入企業との間で条件や手続きを調整します。また、転籍する旨を出入国在留管理庁長官及び厚生労働大臣に届出をするほか、必要に応じてその他の行政機関と連絡を取り、制度上の手続きが適正に行われるようサポートします。

5.育成就労外国人について

育成就労外国人に求められる日本語レベル

在留資格「育成就労」では、就労開始時点で求められる技能に係る要件はありませんが、日本語能力の要件があります。
育成就労外国人は、就労開始前に、日本語能力A1相当以上の試験(日本語能力試験N5等)の合格、又はこれに相当する認定日本語教育機関等による、入国後講習での日本語講習の受講が求められます。 

育成就労から特定技能1号に移行する際の要件

育成就労制度では、特定技能1号への移行条件として、技能に関する試験(技能検定試験3級、または特定技能1号評価試験)および日本語能力A2相当以上の試験(日本語能力試験N4等)の合格が必要とされています。
また、日本語能力については、日本語能力A2相当以上の試験にかえて認定日本語教育機関等による100時間以上の日本語講習の受講でも要件を満たします。
なお、これらの試験に不合格となった場合でも、最長1年間に限り、在留を一定期間継続できることとされています。

※認定日本語教育機関とは
「日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律」に基づき、教職員体制・施設・教育課程などにおける認定基準を満たす日本語教育機関として、国(文部科学省)から認定された機関を指します。本制度により、「留学」「就労」「生活」といった目的に応じた日本語教育を実施する機関について、公的に質の確保が図られています 。

6.特定技能所属機関・登録支援機関について

育成就労制度の創設に合わせ、特定技能制度においても支援計画や支援体制の適正化、運用状況等の公表制度の拡充など、特定技能所属機関や登録支援機関の規制強化などの一部見直しがなされます。

支援責任者の講習受講義務化

特定技能所属機関や登録支援機関において、支援責任者の選任要件として講習の受講が必須となります。
支援責任者は「過去3年以内に講習を修了した者」から選任することが義務付けられ、新設される講習の受講が必要となります。
※経過措置有り

外部委託の制限

1号特定技能外国人に対する支援業務を外部に委託する場合の委託先は、「登録支援機関」に限定されます。

不適正支援への監督強化・取消の厳格化

不適正な運用実態を把握した場合、法務省及び厚生労働省が速やかに必要な調査等を行い、出入国又は労働に関する不正行為等が確認されたときは、特定技能所属機関等について厳正に処分等が行われます。

7.育成就労外国人の受け入れ人数について

育成就労制度においても、技能実習制度と同様に、受け入れることのできる外国人の人数には上限が設けられています。受入企業や監理支援機関が十分な育成・支援体制を整え、適切に運用できる環境を確保する事が求められます。
受け入れ人数の上限は、受入企業の常勤職員数や受入形態、優良であるか、指定区域の内外により設定されます。
表4では、これらに応じた受け入れ人数の目安を示しています。

(表4)<育成就労制度における受け入れ可能人数>

単独型

常勤職員の数
一般 育成就労実施者の常勤職員の総数の3/20
優良な育成就労実施者 育成就労実施者の常勤職員の総数の3/10
※育成就労実施者の常勤職員の総数が10名以上である必要がある
優良な育成就労実施者
+
指定区域内
指定区域内(地方)に住所がある場合であっても、受け入れ人数は「優良な育成就労実施者」と同じです。

単独型(継続的かつ安定的に育成就労を実施することができる体制を有するものとして出入国在留管理庁長官及び厚生労働大臣が認めたもの)

常勤職員の数 1人 2人 3人 4人 5人 6人 7人 8人 9人以上 31人以上 41人以上 51人以上 101人
以上
201人
以上
301人
以上
一般 3 6 9 9 9 9 9 9 9 12 15 18 30 45 職場の3/20
優良な育成就労実施者 4 7 10 12 15 18 18 18 18 24 30 36 60 90 職員の3/10
優良な育成就労実施者
+
指定区域内
5 8 11 13 16 19 21 24 27 36 45 54 90 135 職員の9/20

監理型

常勤職員の数 1人 2人 3人 4人 5人 6人 7人 8人 9人以上 31人以上 41人以上 51人以上 101人
以上
201人
以上
301人
以上
一般 3 6 9 9 9 9 9 9 9 12 15 18 30 45 職場の3/20
優良な育成就労実施者 4 7 10 12 15 18 18 18 18 24 30 36 60 90 職員の3/10
優良な育成就労実施者
+
優良な監理支援機関
+
指定区域内
5 8 11 13 16 19 21 24 27 36 45 54 90 135 職員の9/20

優良な育成就労実施者とは

育成就労制度において、国が定める要件を満たし、基準に適合すると認められた受入企業を指します。
技能実習制度における「優良な実習実施者」に相当し、技能及び日本語能力の修得に係る実績、育成就労を行わせる体制、育成就労外国人の待遇、法令違反・行方不明者の発生その他問題の発生状況、外国人の相談に応じることその他外国人に対する保護及び支援体制並びに実施状況、外国人と地域社会との共生に向けた取組状況を総合的に評価して、技能を修得させる能力が高い水準を満たす場合に認められます。

優良な監理支援機関とは

技能実習制度の「優良な監理団体」に相当するもので、監査その他の業務を行う体制及び実施状況、技能及び日本語能力の修得に係る実績、法令違反・行方不明者の発生その他問題の発生状況、外国人の相談に応じることその他外国人に対する保護及び支援体制並びに実施状況、外国人と地域社会との共生に向けた取組状況により決定されます。監査その他の業務を遂行する能力が高い水準を満たす場合に認められます。

指定区域とは

法務大臣及び厚生労働大臣が告示で定める区域で、育成就労実施者の住所が指定区域内にあるかどうかで判断されます。
具体的には大都市圏その他の特定の地域以外の地域(いわゆる地方)を指します。

8.まとめ

育成就労制度の導入により、これまでの技能実習制度からは大きな転換が図られています。技能実習制度で課題とされていた「目的と実態の乖離」や「外国人の権利保護不足」等を改善するため、受入企業の責任明確化や転籍要件の緩和などが盛り込まれました。
技能実習制度では優良な実習実施者の加点対象として任意受講であった技能実習指導員講習や生活指導員講習に該当する講習について、育成就労制度では受講が義務付けられ、法定講習に関する制度改正も実施されています。
これにより、人材育成・確保という制度本来の目的達成と外国人労働者が安心して働ける環境づくりが一層重視されることとなります。
今後は、制度への理解を深めつつ、必要な講習の受講や内部体制の整備を計画的に進めていくことが重要です。
弊社においても、新制度に対応した法定講習の実施に向け、準備を進めております。

著作者:株式会社ウェルネット
監修 :中小企業診断士 山根裕基
編集 :株式会社ウェルネット LTV向上プロジェクト(外国人就労部門)
※当社からの許可なく、掲載内容の一部およびすべてを無断転載・転用することを禁止します。

© Wellnet Co.,Ltd 2025